DCCD-03/Linernotes

2009.05.05
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初めての人もそうでない方もこんにちは。Czkです。
創刊号から買い続けてる百合姫に部屋を圧迫されています。
それよりもいい加減鍵盤買おうと思います。

前回に引き続きWebライナーノーツです。
購入前の参考や、視聴のお供にどうぞ。

それではまた、願わくばここよりまた少し進んだ場所でまたお会いしましょう。

Czk


こんにちは。灰です。

これを出すと決めた当初持っていたコンセプトは
「全体的にテンポを上げて、メロディを頑張る」だったような気がします。
それが終わってみればこんなんなりました。
いつもながら面白いものです。

技術が無い癖に技術的な話をしますと、今回はアルバムを通して聴感上の音量を抑えました。
必然的に音圧が喪われ、結果としてある程度のダイナミクスが残りました。
同じ曲郡でも再生音量を変える事で違った側面が見えてくる、かもしれません。

gray


#01 Isothermal

掴みがダメな例。
BPM70はやりすぎた気がしないでもありません。
全体図を組んでみたらキックの雰囲気だけが全然違うという悪夢のような状況に陥り、
案の定ドツボに嵌って30回ぐらい差し替える羽目にあいました。
思い入れ(苦労)だけは一番強い曲です。

解釈の余地は許されません。
最小単位での一致が求められます。

トップに持ってくるならば今作はこれしかないだろう、ということで1曲目へ。
トップバッターがこれでいいのか、という議論はさておき、
僕は彼の曲を聴くたびに彼の景色が物凄く気になるのです。

#02 Horizon

地平線って変な概念ですよね。
見えているのに絶対到達出来ない。
でも自分が今立っている場所は、他の人から見たら地平線上なのですから。

――――

個人的に色々な事を試みた曲でした。
別にこの曲に限ったことではないですが、一番その比重が多かったです。
新しい事が出来るようになる瞬間というのは、いつになっても楽しいものです。

立っている人間が見る地平線までの距離は、身長にもよりますが約4~5km。
これは海岸からボートで1時間も漕ぎ出せば陸地を見失う事を意味します。
そりゃ遭難もします。

プロローグが終わり、ここからが本番。

#03 Protocol

かなり初期の方で上がったナンバー。
良くも悪くもこれで方向性が定まったと思います。

言葉では不足です。
それは規約でなければなりません。

シンプルながら、深い構成。
音数がかなり多い僕から見ると、この音数で曲が成立させられるセンスというのは
結構羨ましかったりします。
常々僕と対照的であると思うのですが、最終的に行き着く方向性が
似通っているのは面白いものです。

灰さんらしいとも言える、落ち着いた1曲。
6分という決して短くはない時間のはずなのですが、聞いているといつの間にか過ぎている時間。
以前と比べると、相変わらず尖ってはいるもののスっと聞き込める曲になっているのではないでしょうか。

#04 All Resources of the Nature

どんな技術を身につけようと、どんな機械を作ろうと、
人は人だけでは何も出来ない存在です。
何でも出来ると思っているだけであって、結局は自然の産物がなければ今日を生きることすらままならない。
そもそもが自然から生み出された存在なのに、全てを支配した気になって神を名乗ったりする。
生半可な自意識はおこがましいだけですね。

――――

今作で一番早くに手を付けたのもあったのか、
若干これまでの自分を引きずってきた感じというか、
Lost Moonの延長線上みたくなりました。
展開的にもいつもの僕の曲っぽく、一体成長してるのかしてないのか。

――――

どうでもいいですけど、この曲のタイトルがこのページのテンプレートに当てはまらないほど長かったので
僕は普段略してNature→ねいちゃー→姉ちゃんと呼んでいます。

より暗いLost Moon。
どこまで落ちるのでしょうか、僕たちは。

展開する前のタメと、曲調が移った後に残る余韻。
この一瞬の感覚が、何でしょう、敢えて言えば羨ましいです。

#05 Refraction

イントロ2分。
これも比較的初期から形になっていたものです。
メロディを頑張ろうとした形跡があるのはそのためです。

ありのままを見ることは出来ません。
視点であるが故の欠陥によって。

物憂げな旋律が強く印象に残る1曲。
彼のこういうのを聞くたびにいつもパクろうと思うのですが、中々うまい事いきません。
最近ちょっと色気が出てきたのか、妙にメロディを頑張る灰さんの次回作にご期待ください。

#06 if

人は、生きている限り幾度となく選択を迫られます。
そして同一の状況で選択することが出来るのは何人たりともたった一度きりです。
一つの道を選んだ瞬間、残された選択肢は全て消滅します。
戻ってやり直すことは出来ません。
消えた世界がどういうものであったのか、僕らが知る術はありません。

だからこそ考えてしまうのです。
「あの時別の道を選んでいたなら、一体今どうなってたのだろう」と。
この曲は一つの選択を誤った少年が夢想した、より望ましい形で進んだであろう「if」の世界そのものです。

――――

まぁ、概ね皆が言いたいことは大体わかってるつもりです。
最初のラフが出来て、ブレイクまでで8分って時点で嫌な予感はしていたのですが、
作っているうちにもうちょっとこの世界に浸っていたいと思っていたら
あれよあれよという間にどうしようもない長さになっていました。
しかし、決して意味もなくこの長さになったのではなく、僕が追い求めた結果が
たまたまこうなっただけで、この曲には必要な長さでした。

要するに、たった2文字のタイトルに詰め込まれていることに関して、
僕が14分7秒もかけて何を言いたかったのかというと、
「セーブもロードも出来ない人生ってほんとクソゲーだよね!」ということです。

最初8分ぐらいのラフを渡されたんですが、それにはブレイク前までしか入っていませんでした。
そのとき僕は、彼がまた自身の演奏時間記録を更新することを確信しました。
これだけ先頭が小文字なんですね。今気づいたんですが。

#07 Annihilation

4つ打ちコーナー。
Burning Pianoを使うためだけに作ったといっても過言ではありません。
それにしちゃ目立ちませんでしたが。

時々、夢を見ます。
自身の思考はどの程度思考的なのかと。
夢を見るように考えます。

Annihilation→あにひれーしょん→兄→兄ちゃん。
姉ちゃんと違って字面上に魅惑的な響きのない(僕が勝手につけた)略称ですが、
とても雰囲気の良く出てる浸れる一曲です。
そういえば僕ら二人ともお兄ちゃんです。多分どちらもお兄ちゃんとは呼ばれていませんが。

彼のコメントを見てOmnisphereを持っていたことを思い出しました。
重くて起動するのが億劫でつい使わないまま製作しちゃうんですが、
本当何のために買ったんでしょうね。

#08 Vanishing

そこに、とあるものがありました。
彼にはそれは不要な存在に思えました。
だから、彼はそれを消しました。
しかしそれは、本当は必要なものだったのです。
消すことを望まれたそれは消滅していきます。
その速度は凄まじく、止める術はありません。
彼はそれの必要性に気づき、慌てて止めるも、何も出来ませんでした。
あっという間に、そこは空っぽになってしまいました。
残されたのは、何もない空間と、後悔に苛まれてうな垂れる彼一人だけ。

あ、ゴミ箱フォルダの話です。

今回、OPとEDはそれ専用に作ることにしていました。
ただ作るのでは面白くないので、それら専用にいくつか制約を設けた上で。
決めたレギュレーションは以下の通りです。
・短くすること。
・ビートレス、あるいはそれに近い構成であること。

#09 Deadscape [Bonus Track]

あっても無くてもいい。
ボーナストラックに求められる唯一の条件だと思います。

当CDに最後までお付き合いいただき、有難うございました。
またお会いする日を楽しみにしています。

全8曲。
マスターデータを受け取ってみると、中身は9曲。
カラーなどの問題から最終的な収録の決定権は僕にありましたが、
新しい可能性を提示する意味で収録することにしました。
彼が何をやったのかは、最後のお楽しみということで。

それでは今回はこの辺で。
次の機会にまたお会いしましょう。